「プログラミング言語C++第四版」について気が付いたことなど (6)

分かりにくい訳


15.3.2.1 電卓プログラムの残りのモジュール

電卓プログラムの残りのモジュールも、パーサと同様に構成できる。ただし、いずれも小さいので、専用の _impl.h は不要だ。専用の_impl.hが必要になるのは、論理モジュールの実装が、共有コンテキスト(とユーザーに提供する機能)を必要とする関数が複数個になる場合だけである。


原文:

The remaining calculator modules can be organized similarly to the parser. However, those modules are so small that they don’t require their own _impl.h files. Such files are needed only where the implementation of a logical module consists of many functions that need a shared context (in addition to what is provided to users).


試訳:

電卓プログラムの残りのモジュールも、パーサと同様に構成できる。ただし、いずれも小さいので、専用の _impl.h のようなファイルは不要だ。このようなファイルは論理モジュールの実装が(ユーザに提供されるものとは別の)共有コンテキストを必要とする多数の関数により構成される場合にのみ必要となる。


考察:

邦訳では in addition to が暗に意味することがはっきり読み取れない。関数が幾つあっても、ユーザに提供するコンテキストと同じファイルで共有コンテキストを提供してよいなら 個別の _impl.h のようなファイルは必要無いし、また、単に「複数個」では 個別の _impl.h を使う根拠としては弱い。privateにしか共有されない情報が沢山の関数に跨っている時に限り、個別の _impl.h のようなprivateな情報共有の手段が必要になるというのが、たぶん著者の言いたいことだと思う。

コメントを残す